2020-01-01から1年間の記事一覧
日常と非日常の隙間に飛び込むと、それ迄見えていなかった世界の裏側に気付くことがある。夢にも、泡沫にも、蜃気楼にも似たそれが目の前に浮かぶその刹那、 わたしは熱に囚われる。生乾きの自我が、ゆっくりと自分のなかで広がってゆく。 世界の全てが夢に…
夏が朝焼けと刹那を永遠にして消えゆく今日、わたしは手紙を書く。わたしが世界でいちばんだいすきなひとが、またひとつ、遠くなるこの日に。一等星のように強く瞬いて笑うこの日に。 いつかかならず死にゆく人生のなかで、きみがすきだ、と言葉に出来るのは…
わたしは、季節の移ろいを慈しむひとがすきだ。前にも書いた記憶があるけれど、もういちど書く。春夏秋冬を肌に落とし込んで、嬉しそうにちいさく笑うひとがすきだ。 暖かな風の匂い、新しい学校の校庭に咲く桜の絨毯のなか、まっさらな年月を重ねる春。大人…